3病院を運営するワラビー動物病院グループ。2024年に50周年を迎える歴史ある動物病院でありながら、さらなる成長を目指す動機と、XM&Aの経営サポートについて伺いました。Interview:溝口俊太さま(代表)、溝口健太さま(事務局長)伝統ある動物病院としてー ワラビー動物病院について教えてください溝口俊太 代表(写真右。以下、代表):ワラビーグループは、父の代に創業し、今年で50周年になります。埼玉で2病院、北海道で1病院を運営しています。溝口 健太 事務長(写真左。以下、事務長):2020年に私たち兄弟が引き継ぎ、このグループを経営してきました。弟の俊太が代表として動物病院の全般を、私が事務長として経営管理やガバナンスなどを担当しています。おかげさまで従業員にも恵まれ、いまでは80名以上が在籍するグループになりました。ー 代替わりするときの心境はどうでしたか?代表:やはり規模が規模なので、不安も大きかったというのが本心です。今もそれはありますが、院長・スタッフや飼い主様、そして事務長(兄)と一緒に運営できることが、自分の支えにもなっています。ー このような成長を遂げてきた背景には、どのようなものがありますか?代表:現場を第一にしてきたというのが大きかったかもしれません。獣医師や看護師メンバーが思う「こういう診療がしたい」という要望に対して正面から取り組んできました。結果的に、獣医療レベルが上がり、モチベーションに繋がっていると思っています。また、自分たちだけで解決できない専門的な診療は、外部から専門医の先生をお招きして対応しています。これもまた、自分たちの力になってきています。事務長:そうですね! 私たちは「使命感を持って動物を守る」というミッションを掲げています。来院いただいた飼い主様と動物たちに対して、真摯に獣医療を届けることを第一にしています。ー 従業員満足度(ES)にも、相当真剣に取り組んでいますよね事務長:はい。本気です! 支えてくれているのは従業員ですから。ー さすがです。マネジメントという観点で取り組んでいることを教えていただけますか?事務長:例えば、会議やチームミーティングです。結構頻繁に行なっているのですが、経営陣や院長が一方的に何かを伝える、という場にはせず、スタッフ全員が意見を言いやすく風通しの良い会議設計を心がけています。代表:やはり人と人ですから、対話することを大切にしています。人事評価の面談も年に3回ほど行っています。1on1で面談し、個人目標を立て、その中で生じる悩みや相談にも一緒に考えています。逆風の中だからこそ、チャレンジしていきたいー そんな中、どうして経営支援(Growth Program)を導入しようと思ったのですか?事務長:きっかけは「危機感」です。飼育頭数が減少していく中で、この規模を維持・発展していくことに対する危機感です。これは「恐れ」とはまた違って、適切に危機感をもつことで先手を打って取り組みたいという動機があったんです。また、業界にとって逆風が吹いているからこそ、チャレンジすることで更なる成長に繋げられると信じています。代表:ですね。それを考えた時に、いまのこの経営スタイルが果たして正しいのか、毎日自問自答していました。というのも、僕ら獣医師は経営についてあまりにも学ぶ機会が少なかったからです。色々な事例を参考にしながら「こういうやり方がいいかな」と試行錯誤していました。50周年を機に、いま一度経営を見つめ直し、さらに成長を続けていくためのアドバイスとサポートが欲しかったところ「まさに!」という直感がありました。事務長:実は、以前別の企業に経営コンサルティングをお願いしたこともあったんです。でも、動物病院経営は売上やお金のことだけでなく、もっと根幹の部分で大切にすべきことがあります。教科書通りの経営スキルだけでは成せないところを一緒に悩み解決策を探してくれるパートナーがいれば、と考えていました。代表:そういう中で、獣医師として臨床現場の酸いも甘いも理解していて、かつ経営者として事業会社に携わってきた小川さんにサポートいただける機会は貴重だと思い、お願いしました。改めて経営数値を健康診断し、治療方針を立てていったー 実際にどのようなことをされてきたのですか?代表:XM&Aの経営サポートを開始して、一番はじめに取り組んだことは、病院の経営指標の健康診断を行ったことでした。これまでの事業数値や施策を洗い出し、経営をスクリーニング検査をしていったというところです。事務長:これはすごく重要なことでした。正直、事業数値はかなり細かくみている方だと思います。でも、あらためて指標を整理してみると、いままで気づかなかったような発見がたくさんありました。とりわけ、とある重要指標が落ち込んできているということがわかりました。実はここ数年、PL(損益計算書)上での売上は伸びていました。財務諸表では問題なかったわけです。だからこそ隠れてしまっていて、見落としていた指標でした。3人で話し合い、これを放置するのはまずいぞ、と。ー 気づけなかった異常値があったのですね代表:はい。例えるなら、症状は無いけれど血検してみてクレアチニンの慢性的な異常値があった、というような。今のうちから対応しておくべきだと考えました。さらに詳しく見てみると、その周辺にある複数の指標にも微細な変動があることもわかりました。事務長:そこで、私と代表、そして小川さんの3人でこれに対する治療方針を検討していきました。3ヶ月ほど時間をかけてじっくりと作戦を練っていったんです。ー 検査結果に対して、治療方針を検討していったと代表:はい。議論を重ねて重ねて、最終的に3か年の中期経営計画(事業計画)を策定しました。この事業計画を達成するために、三国志の天下三分の計じゃないですが、3つの戦略にまで落とし込みました。ですが、こういう類のものを現場にまで浸透させていくのは簡単ではないんです。ー 頭ごなしの計画は、実効性が乏しいとよく言われます。経営陣だけでなくスタッフ全員が一丸になることが重要ですよね。代表:はい。そこで、年度始めに行っている埼玉両院のスタッフ全員が参加する方針説明会の場を使って、これらを発表することにしました。これまでに分析していった過程、そして経営計画と経営戦略について、丁寧に説明していきました。(注:写真は方針説明会での一コマ)事務長:より解像度を上げた方針と戦略を発表したことで、スタッフにもかなり意図が伝わったようです。その上で、チームを編成しました。1つの戦略につき各院で1チーム。計6チームです。代表:チームは役職や資格に関係なく、各人の適正を考慮して編成しました。方針説明会の後半では、編成したチームごとにアクションプランをディスカッションしてもらい、その日のうちに具体的な施策まで挙げきりました。自ら考える、ということも重要でしたね。それから数ヶ月が経過しましたが、それぞれが責任感をもって主体的に取り組み続けてくれています。事務長:そうですね。私たち経営陣は「指示する人」ではなく、あくまでサポートです。そのプロジェクトを進めていく上で課題があれば、一緒に考えます。それが良い連鎖反応を生んでいると思います。毎月チームミーティングに入っていただき、施策を考えては実行し、振り返り、何が達成できて何が達成できなかったかを分析しています。その上で、達成するためには何が必要かの議論を行っています。経営サポートを通じて、想定以上の成長へー 結果的に、どのような変化がありましたか?代表:実は、事業計画はかなり高い目標にしたんです。あえて。正直に言って、この規模になってこの成長率は難しいだろうとすら思っていました。事務長:俺はいけると思ってたけどね(笑)代表:まぁね(笑)。でもそのくらい高い目標だったんです。ですが蓋を開けてみれば、結果的に目標以上の数値を達成しています。これは、僕たち自身も驚いています。事業計画と施策の重要性を再認識しました。ーそれはプロジェクトがワークしているからですか?代表:それもあります。ですが、やはり目標を掲げたことによる意識改革が大きいのではないでしょうか。僕たち経営陣の本気度が全員に伝わったことで、スタッフが自らがんばってくれるという相乗効果が生まれているように思います。事務長:そうですね。それが結果として数字に現れています。これまで天井だと思っていたところが実は天井ではなかった。それは全員が目標に向かって努力したからこそだと思います。成長や挑戦に寄り添う第三の経営陣としてー実際に、GrowthProgramによる経営支援を受けて、どのように思われましたか?代表:XM&Aの経営サポートは、いわゆるコンサルティングとはちょっと違った印象を受けます。理想論で終わらないというか。割とコンサルって「こうしたらいいよ」みたいなことが多いと思うんですが、それは僕たちもわかっている。そうじゃなく、実際に頭と手を一緒に動かしてくれる第三の経営陣みたいな役割だと感じています。事務長:そうなんですよね。しかも動物病院の現場を理解しているから、一言で言えば「話が早い」です。悩みが通じる、というか。加えて、事業会社で実際に事業を動かしていたので、本質的な成長に向き合っていただける点も助かっています。代表:これから成長や挑戦をしたい病院にとっては、すごく助けになるサポートだと思います。ー最後に、今後取り組んでいきたいことを教えてください。代表:なによりも、スタッフと飼い主さま、動物たちが幸せになれるようにすることが一番です!事務長:同じくです。売上やお金はあとから付いてくるものです。そしてそれは社員に還元していきたいと思っています。それを第一にこれからも成長を続けていきたいと思っています。ー今日はありがとうございました!代表・事務長:ありがとうございました!この記事を書いたライター小川篤志(獣医師)東京都出身 日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業後、宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長として臨床経験を積む。ビジネスサイドに転向後、東証一部上場企業の経営企画部長に就任。新規事業、経営管理、PR / IR、ブランディング、マーケティングを統括。日本初のペット産業特化型ベンチャーキャピタルCEO、海外動物病院法人CEO等を歴任。FASAVA(アジア小動物獣医師会学会)日本支部 理事、ITスタートアップの経営企画担当を経て、XM&Aを創業。主な功績、受賞歴COVID-19感染者のペットを預かる「#stayanicomプロジェクト」の企画・統括・責任者(環境大臣 表彰)熊本大震災 ペット災害支援(熊本県知事 表彰)、西日本大豪雨ペット災害支援日本初のチャットボットを活用した保険オペレーションシステムの構築Web Media「猫との暮らし大百科(web media)」を創設。編集長に就任し、月間100万PV超のメディアに成長上場企業 / スタートアップ合わせ総額50億円超の資金調達を主導<その他現任> 公益社団法人 東京都獣医師会 理事、学校法人 ヤマザキ学園 講師facebook、Podcast経営サポートプログラム(Growth Program)のサービスをご提供しております。ご興味がございましたら、以下のフォームよりお問い合わせください。なお、ご支援させていただく病院数には限りがございますので、あらかじめご了承ください。詳しくは、こちらのページをご参照ください。