展示会。企業にとって少なくない費用がかかる上、ダイレクトに顧客とつながりきれないジレンマもある中、多くの方々に知っていただく機会としては貴重なものに変わりはありません。しかし、こう思ったことはないですか?「うわぁ、この企業のブースでかい....。そして仕上がり方がすげぇな…」そう、いざブース準備のために会場に入ると、目を奪われるのは、大企業の特大ブースです。大きなスペースに豪奢な装飾、煌びやかなライト、スタイリッシュなデザイン。全てが段違いな圧倒的「覇者感」。どの展示会にも「覇者」がいて、その壮観さに圧倒されるのは世の常です。「それに比べて…」自分のブースを見直すと、小さくて、明かりも足りなくて、デザインもパッとしない。おまけにデザインは手作り感満載で製品や資料を並べただけになっている! 仕方ない、俺たちだってよくやったよ、と肩をたたき合う。そんな想いをしたこと20回以上いや、イベントブースも含めれば、出展回数はゆうに30回を超えているかもしれない。上場企業としてもスタートアップとしても、はたまた業界団体としても、国内外問わず展示会に出展してきました。その度に悔しい思いもしてきました。そんな私の経験則ではありますが、展示会での勝ち筋のアイデアをメモ的に残していきたいと思います。何も特別な費用も要らず、誰でも真似できることですので、どうぞ真似してしまってください。展示会のオキテ6選今回我々は、少し型破りな戦法に打って出てみました。しかし、そんな型破りを説明する前に、故 中村勘三郎氏の言葉「型破りとは、型を知ってこそ破れるものだ」という名言を思い出し、展示会の型、つまり鉄則からご紹介します。事例を紹介する後編の「奇策編」はこちら1. 必ず、隣のブースには挨拶をする。必ずだ。そう。何をもっても隣のブースの方々を大事にしましょう。数日間、隣人となるわけで、時にはご迷惑をおかけするかもしれない。困ったら助けてもらうこともあるし、その逆もある。展示会の出展者というのは、ライバルではなく共存関係です。来場者に向けて互いにブースを紹介しあったりもするわけで。もちろん、隣が盛況ならこちらも盛況になります。だから関係性構築はとても大事です。出会った時、帰る時、翌朝また会った時、終わる時にはしっかりご挨拶しましょう。2. ブースは、明るければ明るいほどいい明るさこそ正義。展示会ブースは、これでもかというほど明るくするくらいがちょうどいいのです。いつだって目立つのは明るいブース。人間、暗い場所よりかは明るい場所に目が行くのは真理で、目が行けば足も運びやすくなるのは当然です。灯りをつけましょう。3. 体験型ブースは強い。すごいのではなく強いそこで何かを体験できる、というのはノベルティよりもずっと強さを発揮します。すごさじゃなく強さです。はっきり言って、ブースを回っている方々は何か目的があるわけじゃありません。なんとなく気になるところがないかを見回っているだけで、楽しそうな催しをしているところがあれば興味を持ってくれます。お祭りでも同じですね。射的、ひもくじ、輪投げ、スーパーボールすくいなど全て体験型のお店です。海外で出展した時には「浴衣を着て、写真を撮れる」という取り組みもしたことがあります。これは大人気で行列ができるほどでした。体験の種類は、本業と関係がないものでも構いません。あくまで体験は「惹き」であり、そこから生まれる会話に意味があります。きっかけとしての体験なのです4. ターゲット以外の来場者も楽しませる展示会というのは多種多様な方が訪れるもの。ターゲット以外の方が来場されたときにぞんざいに扱ってしまったことはありませんか?(恥ずかしながら、私はあります)この「ターゲット以外の方」と会話することは、実はとても重要です。なぜなら、誰もいないブースには近寄りがたいオーラを感じてしまうからです。例えターゲット以外の来場者でも、そのブースに一人いれば、近くを通りがかる人(本来のターゲット)も足を留めやすくなります。その方と話す時間は本来の目的とは違っていても、副次的に集客効果があるのは間違いありません。だからぞんざいに扱わず、誰に対しても丁寧に接しましょう。5. (許されるなら)鳴りものを使う五感に訴える、で言えば、目の次に来るのは耳です。過去に試した中で、最も効果的だったのは、ブース内説明会でした。これは、東証が主催する個人投資家向けの展示会だったのですが、マイクを持ち、スライドを使って自社を効果的に宣伝します。たまにスーパーで見かける実演販売のようなものです。これは強かったです。うまくいくと、写真のように立ち見であふれるほど人が集まります。その他には、ガラガラくじです。ガラガラと鳴る音や、回す仕草、当選したときの「チリンチリン」という鐘。全てが目を引くので、展示会でやるのはとても効果的でした。一つ注意点は、こうした音響が許されない展示会もあることです。事前に事務局に確認しましょう。仮にOKだとしても、隣のブースにご迷惑をかけることもあるのでしっかりとご理解いただくようにしましょう。6. 十個の小物を置くなら、三個の大物を置け展示会は、思ったより来場者と距離があります。小さな展示物はどうしても通りから見ることができません。だから、遠くからでもわかる大きなものを置いた方がずっと効果的です。また、天面に小さなものを置くのもおすすめできません。来場者の目線から最大に映るよう、やや斜めに展示する方がベターです。以上、ここまでが私が実体験で感じてきた「型」です。鉄則とかオキテといってもいいかもしれません。後編では、つい数日前に開催した展示会における、弊社ブースでの奇策についてご紹介します。小川篤志(獣医師)東京都出身 日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業後、宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長として臨床経験を積む。ビジネスサイドに転向後、東証一部上場企業の経営企画部長に就任。新規事業、経営管理、PR / IR、ブランディング、マーケティングを統括。日本初のペット産業特化型ベンチャーキャピタルCEO、海外動物病院法人CEO等を歴任。FASAVA(アジア小動物獣医師会学会)日本支部 理事、ITスタートアップの経営企画担当を経て、XM&Aを創業。主な功績、受賞歴COVID-19感染者のペットを預かる「#stayanicomプロジェクト」の企画・統括・責任者(環境大臣 表彰)熊本大震災 ペット災害支援(熊本県知事 表彰)、西日本大豪雨ペット災害支援日本初のチャットボットを活用した保険オペレーションシステムの構築Web Media「猫との暮らし大百科(web media)」を創設。編集長に就任し、月間100万PV超のメディアに成長上場企業 / スタートアップ合わせ総額50億円超の資金調達を主導<その他現任> 公益社団法人 東京都獣医師会 理事、学校法人 ヤマザキ学園 講師facebook、Podcast